GroovyRoomと僕。 그루비룸과 나

K-HIPHOP

K-HIPHOPのビートというのは、ある日突然、横から殴ってくる。
「Sunday」のイントロが流れ始めた瞬間、僕は完全にやられた。
Heijeのボーカルが乗っかって、Jay Parkが登場して、気づいたらリピートが5周目になっていた。
そのビートを作ったのが、그루비룸グルビルム(GroovyRoom)という兄弟プロデューサーデュオだと知ったのは、もう少し後の話だ。

GroovyRoomを知らなくても、あなたはきっとGroovyRoomのビートを知っている。
韓国のヒップホップシーンで流れる「あのグルーヴ」、「あの重低音」、「あの浮遊感」。
それがGroovyRoomだ。
日本で言えば、ファンク、R&B、ヒップホップをひとりで全部かじったプロデューサーが二人いて、双子みたいに息が合っている、そういうイメージが近い。
2017年から2018年にかけてKorean Hip-hop Awards (KHA) のプロデューサー賞を2連覇した事実が、すべてを語っている。

Park Gyu-jeong (パク・ギュジョン) と Lee Hwi-min (イ・フィミン) の二人組は、H1GHR MUSICの看板プロデューサーとして、韓国ヒップホップの「音」を作り続けている。
この記事では、そのGroovyRoomの全貌に迫っていく。


目次
1. プロフィール
2. 主要ディスコグラフィー
3. H1GHR MUSICという舞台
4. EVERYWHEREとKHA受賞
5. 代表曲を深掘りする
6. プロデューサーとしての横顔
7. AREAレーベル設立と次のフェーズ
8. マルのひとこと

プロフィール

GroovyRoomは、Park Gyu-jeong (박규정パク・ギュジョン / パク・ギュジョン、1994年12月12日生まれ、慶尚北道浦項出身) と Lee Hwi-min (이휘민 / イ・フィミン、1994年8月5日生まれ、仁川出身) による韓国のプロデューサー・DJデュオだ。
二人はそれぞれ異なる出身地を持ちながら、音楽で出会い、コンビを組んだ。
活動開始は2015年頃で、2016年にデビューシングル「Loyalty」をリリースしている。

所属レーベルはH1GHR MUSIC。
Jay Park と GRAY が立ち上げたこのレーベルは、韓国ヒップホップシーンのひとつの核であり、GroovyRoomはそこでプロデューサーとしての地位を確立した。
2021年にはH1GHR MUSICとのパートナーシップのもと、エレクトロニック系のサブレーベル「AREA」を自ら設立している。
プロデューサータグは「Groovy Everywhere」。
このタグが聞こえたら、それはGroovyRoomの仕事だ。

主要ディスコグラフィー

年タイトル形式備考
2016Loyaltyシングルデビュー作
2017EVERYWHEREEP初EP / KHA受賞作
2017Sunday (feat. Heize, Jay Park)シングル代表曲
2018My Paradiseシングル
2019Room Service (with Leellamarz)コラボアルバムAmbition Musikとの共演
2019This Night / Face Downシングル
2020FASHOシングルJay Park、pH-1、HAON他参加
2020-2021Find Your Light シリーズ (#1〜#6)EP連作全6作リリース
2024Yes or No (feat. Yunjin of LE SSERAFIM, Crush)シングル

H1GHR MUSICという舞台

H1GHR MUSICの話をしないとGroovyRoomは語れない。
Jay Park が2017年に設立したこのレーベルは、Sik-K、pH-1、HAON、Woodie Gochildなどを抱えながら、韓国ヒップホップとR&Bの最前線を走ってきた。
日本で言えば、EPICとROCK NATION を足したような感じ、とでも表現すればいいだろうか。
とにかくクオリティが高くて、勢いがあって、アーティスト同士の関係性が濃い。

そのH1GHR MUSICにGroovyRoomが合流したのは、レーベルの黎明期に近い時期だ。
彼らは単にビートを売る外部プロデューサーではなく、レーベルの「音のアイデンティティ」を作る内側の人間として機能してきた。
Jay Parkのトラックを手がけ、pH-1のEPをプロデュースし、次世代アーティストのサウンドを磨いてきた。
これは、チームとしての仕事だ。

GroovyRoomのビートの特徴は、「隙間の使い方」にある。
ドラムのパターンが鳴っていないところ、ベースが一瞬引く瞬間、そこにグルーヴが宿っている。
音を詰め込むのではなく、空白を計算する。
韓国のプロデューサーの中でも、この「引き算の美学」を持っている人間はそう多くない。
DJ Premierがニューヨークのコンクリートを音に変えたように、GroovyRoomはソウルのストリートとクラブを一緒に鍋に入れて、独自のグルーヴに仕立てた。

H1GHR MUSICというフィールドは、GroovyRoomにとって自分たちのサウンドを実験できるラボでもあった。
ブームバップ、トラップ、R&B、さらにはエレクトロニックミュージックまで。
彼らはジャンルの壁を作らずに、次の音を探し続けた。
その姿勢が、のちのAREAレーベル設立につながっていく。

レーベルの中での役割を考えると、GroovyRoomはいわば「縁の下の力持ち」の顔と「フロントに立つアーティスト」の顔の両方を持っている。
他のアーティストのために最高のビートを作りながら、自分たちのリリースでも手を抜かない。
この二足のわらじが、日本のプロデューサーシーンではほとんど見られないスタイルだ。
大体は「裏方に徹する派」か「表に出る派」に分かれてしまうのだが、GroovyRoomはその二つを同時に走らせる。
しかもどちらも高水準で。
そこが他のプロデューサーと一線を画している部分だと思う。

H1GHR MUSICには、独特の「仲間感」がある。
アーティスト同士が互いの曲にフィーチャリングで参加し、プロデューサーとラッパーが一緒に遊びながら音を作る。
そのカルチャーの中心にGroovyRoomがいることで、レーベル全体のサウンドが一つの方向性に向かっていく。
GroovyRoomがいなければH1GHR MUSICの音は別物になっていただろう、と言っても過言ではない。

EVERYWHEREとKHA受賞

2017年にリリースされた初EP「EVERYWHERE」は、GroovyRoomにとってのターニングポイントだった。
Jay Park、Sik-K、SURAN、pH-1といった豪華な顔ぶれが参加したこのプロジェクトは、単なるプロデューサーのショーケースを超えた「作品」として受け取られた。
K-HIPHOPシーンで「GroovyRoomのビートは一線を画す」という評判が確立されたのは、このEPがきっかけだ。

そして2017年、Korean Hip-hop Awards (KHA) でプロデューサー・オブ・ザ・イヤーを受賞。
翌2018年も同賞を連覇する。
2年連続受賞というのは、韓国ヒップホップ界においてどれだけのことかというと、日本でいえばレコード大賞の編曲賞を2年続けてとるようなものだ。
しかもそれが、まだ20代前半のプロデューサーデュオによるものだった。
そりゃ注目されるよ、という話だ。
KHAの受賞記録は、韓国ヒップホップの歴史の証言でもある。
GroovyRoomの名前がその記録に2年連続で刻まれているという事実は、何年後かに振り返っても輝き続けるはずだ。

KHAは韓国ヒップホップのコミュニティが投票で決める賞で、業界内での評価がダイレクトに反映される。
ファン人気だけでなく、アーティストや業界関係者からの信頼があってこそ取れる賞だ。
GroovyRoomが2連覇できたのは、彼らのビートが「使いやすい」からではなく、「唯一無二のグルーヴを持っている」からだと思う。

EVERYWHEREのリリース後、GroovyRoomへのコラボオファーは加速した。
韓国ヒップホップシーンで「あのGroovyRoomのビートで録りたい」という需要が生まれ、彼らはシーンのど真ん中に立つことになった。
プロデューサーがここまでフロントに立てるのは、K-HIPHOPの成熟度を示しているとも言える。

代表曲を深掘りする

GroovyRoomの代表曲として最初に挙げるべきは、やはり「Sunday」(feat. Heize, Jay Park) だろう。
2017年リリースのこの曲は、穏やかなメロディの中に鋭いリズムを潜ませた一曲で、Heijeの甘いボーカルとJay Parkのラップが完璧に融合している。
週末の昼下がり、なにもしたくない気分の時に流したい曲だ。
実際に週末に聴くとさらにやばい。
週明けが来るのが嫌になる。

「Sunday」のビートを細かく聴くと、GroovyRoomの手法がよく見える。
ドラムはシンプルで重く、しかし単調にならない微妙なシンコペーションが入っている。
ベースラインは低く、ほとんど主張しないのに、なぜかずっと耳に残る。
コードはジャジーな響きを持ちながらも、ヒップホップの文脈で着地している。
こういう「さりげなく高度なことをやっている」ビートが、GroovyRoomの真骨頂だ。

2020年にリリースされた「FASHO」は、GroovyRoomが主催したポッセカットだ。
Jay Park、pH-1、HAON、TRADE L、Woodie Gochild、BIG Naughty、Sik-K、lIlBOIという豪華メンバーが集結した。
H1GHR MUSICという「箱」を持っているGroovyRoomにしかできない一曲と言える。
日本で言えば、m-floが「come again」を作ったときのような、「このレーベルが今、最高の瞬間にある」という記録として機能している。

2020年から2021年にかけてリリースされた「Find Your Light」シリーズ (全6作) は、GroovyRoomがプロデューサーとして、さらにアーティストとして成長した姿を見せてくれる連作だ。
Palette #1、Burn #2、Daylight #3、FYL #4、Follow The Light #5、By Your Color #6と、それぞれテーマを設けながら異なる色合いのサウンドを展開した。
ただのシングルの羅列ではなく、シリーズ全体で一つの物語を作ろうとする意志が感じられる。
コロナ禍の閉塞感が漂う時期に、「光を見つける」というテーマでシリーズを展開した選択は、音楽的なメッセージとしても鮮明だった。

2019年のコラボアルバム「Room Service」は、Ambition MusicのラッパーLeellamarzとの完全コラボ作品だ。
Leellamarzは韓国インディーヒップホップシーンで根強い支持を集めているラッパーで、GroovyRoomとは音楽的な相性の良さが以前から知られていた。
このアルバムでは、プロデューサーとラッパーが対等なパートナーとして一つのビジョンを共有して作った感触が伝わってくる。
ただビートを渡してラップを録ってもらうのではなく、アルバム全体のコンセプトから音の色まで一緒に作り上げたのだろう、という説得力がある。

2024年にリリースした「Yes or No」は、LE SSERAFIMのYunjinとCrushを迎えた楽曲で、GroovyRoomがK-POPのフィールドでも確固たる地位を持つことを示した一曲だ。
ヒップホップだけでなく、K-POPのプロデュースにも食い込めるのは、彼らのサウンドの幅広さの証明でもある。
Crushはソウルフルなボーカリストとして韓国R&Bシーンで長年評価を受けているアーティストで、GroovyRoomとの相性は以前から語られていた。
K-POPグループのメンバーとヒップホップ系アーティストが同じ曲に乗ることを自然に成立させるビートを作れるのは、GroovyRoomの守備範囲の広さあってこそだ。

プロデューサーとしての横顔

GroovyRoomの仕事は、自分たちの名前を冠したリリースだけではない。
むしろ、他アーティストへのプロデュースワークの積み重ねが、彼らの実力の幅を語っている。

韓国ヒップホップ界の大御所から新世代まで、GroovyRoomのクライアントリストは壮観だ。
Dynamic Duo、Gary、Jay Park、Bastarz (Block Bの派生ユニット)、Park Kyung、Cheetah。
さらにはHeize、CHUNG HA、(G)I-DLEといったK-POPアーティストへの楽曲提供も行っている。
ジャンルをまたいで機能できるプロデューサーというのは、意外と少ない。
GroovyRoomはそれができる数少ない存在だ。

DEANやChangmoとの仕事も、GroovyRoomのキャリアの中で語られることが多い。
DEANの繊細なR&Bサウンドと、GroovyRoomのグルーヴィーなプロダクションの組み合わせは、シーン内でも評価が高い。
Changmoとのコラボも、トラップとメロディのバランス感覚が光る仕事だった。

Dynamic Duoとの仕事も見逃せない。
Dynamic Duoは韓国ヒップホップの礎を作ったレジェンドグループで、そこへのプロデュースワークは「新世代がレジェンドに認められた」という証明になる。
世代を越えたコラボが成立するのは、GroovyRoomのビートが時代のトレンドだけに乗っているのではなく、普遍的なグルーヴを持っているからだ。
流行りのサウンドを追いかけるだけのプロデューサーは、すぐに陳腐化する。
GroovyRoomが長く第一線にいられるのは、その普遍性を土台に持っているからだと思う。

注目したいのは、彼らが「プロデューサーとしてのブランド」を持っていることだ。
「Groovy Everywhere」というプロデューサータグが流れた瞬間に、リスナーが「あ、GroovyRoomだ」と認識できる。
これは、ビートメーカーとしての最高の褒め言葉だと思う。
日本でDJ Premierのイントロが聞こえたら「プレミア!」ってなるあの感覚に近い。
韓国のヒップホップリスナーにとって、「Groovy Everywhere」はそういう合図になっている。

プロデューサーとしての方法論も興味深い。
彼らはブームバップとトラップを主軸にしながらも、R&B的な揺らぎやエレクトロニックな質感を自在に混ぜてくる。
「ヒップホップを作っている」というより「ヒップホップを素材にして、新しい音を作っている」という感覚に近い。
その実験精神が、のちのAREAというエレクトロニック系レーベルの設立に結びついていく。

AREAレーベル設立と次のフェーズ

2021年3月、GroovyRoomはH1GHR MUSICとのパートナーシップのもと、新レーベル「AREA」の設立を発表した。
このレーベルは、GroovyRoomがヒップホップ以外のフィールド、特にエレクトロニックミュージックを探求するためのプラットフォームだ。

プロデューサーが自分のレーベルを持つことは、韓国のヒップホップシーンでも珍しいことではない。
しかしGroovyRoomがやったのは、「ヒップホッププロデューサーがエレクトロニック系のレーベルを立ち上げる」という越境だ。
これは単なるビジネス展開ではなく、自分たちのサウンドの可能性をさらに広げようとする意志の表れだと思う。

韓国のクラブシーンやアンダーグラウンドエレクトロニックシーンは、K-POPやK-HIPHOPの陰に隠れがちだが、実はものすごく豊かだ。
そこにGroovyRoomがAREAという形で参入したことは、シーン全体にとっても刺激になった。

H1GHR MUSICのヒップホッププロデューサーとしての顔と、AREAのエレクトロニックプロデューサーとしての顔。
この二面性が、2020年代のGroovyRoomを定義している。
どちらの顔も本物で、どちらかに絞ることなく両方を走らせている。
それがまた、彼らの強さだ。

2024年の「Yes or No」(feat. Yunjin of LE SSERAFIM, Crush) や継続的なリリースを見ていると、GroovyRoomはまだ進化の途中だと感じる。
Mixmagはじめ海外メディアも彼らを追いかけており、韓国国内に留まらないグローバルな注目も集まっている。
今後のリリースから目が離せない。

H1GHR MUSICのヒップホッププロデューサーという肩書きを持ちながら、AREAというエレクトロニックフィールドを開拓する。
この両輪体制は、GroovyRoomが2020年代においても第一線にい続けるための戦略でもあり、純粋な音楽的好奇心の発露でもある。
2015年に活動を始めた二人は、2026年の今もなお、韓国音楽シーンの重要な座標のひとつを占め続けている。
プロデューサーというのは本来、縁の下の仕事だ。
しかしGroovyRoomは、縁の下にいながらも、その存在が見えるほどの力を持っている。
それが彼らの稀有さだと思う。

マルのひとこと

K-HIPHOPを聴き始めた頃、僕はずっと「ラッパーの名前」を覚えることに必死で、プロデューサーの名前はほとんど気にしていなかった。
曲の冒頭に流れるプロデューサータグも、正直言うと雑音としか思っていなかった。
「早く本編流れてくれよ」くらいの気持ちだった。
あの頃の自分に言ってやりたい。
そのタグが一番大事なんだぞ、と。

それが変わったのは、「Sunday」を何度もリピートするようになってからだ。
ふと「このビートは誰が作ったんだ」と思って調べたら、GroovyRoomという名前に行き着いた。
そこから掘り始めたら、自分がそれまで聴いてきた曲のいくつかにも、「Groovy Everywhere」というタグが入っていることに気づいた。
気づいていなかっただけで、僕はずっとGroovyRoomのサウンドの中を生きていたんだ。
「結果、出会いは最初からあった。
結果、気づいていなかっただけだった。
」
そういう発見の仕方が、K-HIPHOPにはよくある。

「知らないうちに影響を受けていた人の名前を後から知る」という体験は、何度経験してもじわっとくる。
うりぬん、このサイトでGroovyRoomをちゃんと紹介しておきたい。

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